2018/11/02
【酒類作品】京都 竹野酒造

『亀の尾蔵舞』

 

京都府京丹後市に圧巻な地酒屋がある。地域と共に共存共栄し、日本酒を作る、昭和22年創業、竹野酒造有限会社。地域密着、地元主義。よく耳にする言葉ではあるが、綺麗事ではなさそうだ。そんな話も踏まえて、竹野酒造の主役、『亀の尾蔵舞』を紹介したい。

 

 

『幻の米』

 

『亀の尾』とは幻の米として古くから伝わる日本を代表した品種(食用米)だ。病害虫に弱く、倒伏しやすいという欠点などがあり、加えて収穫時期の遅い晩生であった。戦後の食糧不足の中で多収品種が普及して行くにつれ、『幻の米』となる。実は、この「亀の尾」は、現在の日本の代表的なお米のルーツをたどると、行き着く根本だ。元祖オールドスクールなお米である。

※同様に西日本ではあまり馴染みがないが、その粒の大きさが人気の『旭』という品種もある。

 

 

『竹野酒造の挑戦』

 

そんな幻の米で醸造酒を製作するのが、竹野酒造だ。たった3kgの種籾から、地域と共に作り出したと聞いている。

「平成12年の秋。幻の米と呼ばれる、たった3kgの、亀の尾種籾の出会いから始まる。3kgの米では何もできないため、1反の田を作ってもらえる農家を探すことからスタート。」

地元密着とは綺麗事でもキャッチでもなく、本質の本質である。

「次年度春より1反の田で栽培を開始、夏の出穂期には鮮やかな白穂の田が広がり、期待に胸を膨らませるには十分すぎる光景。しかし、秋になって目の当たりにした光景は、田一面に広がる赤や黒の穂。所謂、赤米・黒米である。赤や黒の穂、これらを1本1本抜き穂し、農家の苦労あって、約300kgあまりの亀の尾を収穫。」

困難な試行錯誤の繰り返し、精米歩合は原型精米できる60%とし、酵母は自家酵母を使用。

 

 

そして搾られた亀の尾は、甘口で、かつキレのよい旨味のある純米酒を作ることに成功。

その名が『亀の尾蔵舞』だ。

貯えるという意味をもつ『蔵』と、舞は舞うことではなく、転じて伝えるという意味の『舞』。

古の造りの技術を貯え、伝える意味を込めて、『蔵舞』と命名。

 

 

『亀の尾蔵舞』

甘口で華やかな香り。あまり酒に馴染みの無い方へ、どうぞ「初めての酒」として。イメージはこう。とある寿司屋に女性社員が上司に連れられて訪れ、勧められるがままに口にしたその酒への感想。「日本酒って、思ったよりおいしい。」

   ・品名:亀の尾蔵舞(かめのおくらぶ)

   ・酒米:亀の尾

   ・精米歩合:60%

 

平成14年には亀の尾蔵舞の本格発売が始まり、日本酒文化を唄い、伝え続けている。地域密着、地元主義はなるべくしてなり、必要不可欠である。人と人とはただ、繋がっていたのではなく、日本酒のごとく混ざり合っていた。

 

2010年、全国酒類コンクール純米部門、第1位。

2012年春、ワイングラスでおいしい日本酒アワード2012年にて金賞。