2019/02/09
【終止符が打たれた5Pointz】

【終止符が打たれた5Pointz】

 

アメリカ合衆国はニューヨーク市クイーンズ地区、ロング・アイランド・シティにかつて存在した世界最高の落書きのメッカ 5Pointz『ファイブ・ポインツ』。2014年11月の時点でメインの建物は完全に解体された。なんとも言い難い悲報だ。前編、5Pointzの始まりを読んでない方は【5Pointz Aerosol Art Center】を参照。

 

2013年8月21日、ニューヨーク市都市計画局は満場一致でファイブポインツの解体を承認した。再開発計画の一環だ。ショッピングセンターなどが隣接した二棟のタワーマンションが建てられる計画は猛烈なスピードで進行していた。5Pointzの所有者でありデベロッパーのデービッド・ウォルコフ氏は2013年末までに解体したいと公表した。

 

2013年10月9日、ニューヨーク市議会は満場一致で$400ミリオン(約420億円)の開発計画を承認した。計画予定内容は、約1,200ユニットの高層高級住宅、またはプールやジム、ヨガスタジオ、屋外バーベキュやパーティールームだ。また10,000平方フィート (930 m²)のパネルと壁がアート専用に、さらに一階のファサードはグラフィティ専用に利用されることになっている。

 

 

『デービッド・ウォルコフ』

 

 

20年もの長きにわたりエアロゾル・アーティストたちを支援してきた5Pointzのオーナーであり、この土地の所有者、デービッド・ウォルコフ氏はこう語る。

 

「今更開発は止められない。むしろ多くの人は落書きだらけのビルの代わりに、ピカピカのレジデンシャルタワーが建つことを歓迎するだろう。20年近くに渡って様々なアーティストたちはこのビルの息を吹き返してくれ、素晴らしい特徴や歴史を与えてくれて感謝している。僕たちはこのビルがここにあることを心から楽しんできたよ」

David Wolkoff

 

2013年11月16日5Pointzを保護するための制作者たちによる訴訟をはじめ、かつて20年に渡ってキュレーションを務めていた『Meres』こと、ジョナサン・コーエン (Jonathan Cohen) は嘆願書名などを集めるほか、各所で集会を開催したがその結果もむなしく終わった。

 

「あらゆるものは進化するんだ。この街も進化している。実業家として、その成長を生かす時期が来た」

David Wolkoff

 

『歴史に終わりを告げる』

 

2013年11月19日、5Pointzのグラフィティは夜中のうちに白く塗りつぶされた。この作業は部外者の闖入を阻止するため警察官立会いのもと真夜中に行われた。まもなくの解体を知らしめる為の出来事だった。5Pointzサイドもこの事実をSNSなどで報告した。

 

 

2014年2月、白塗りされた建物の解体作業の第一段階として、アスベスト除去処理が始まった。

2014年2月3日、抗議アートが描かれた。"Art Murder"(アート殺し)と青と赤の文字で大きくビルの側面に描かれた。昔の5Pointzとは違い、住居侵入や建造物損壊罪に問われる犯罪行為となった。

 2014年3月10日、"Gentrification In Progress"(高級化現象進行中)と書かれた大きな黄色いバナーがビルの周囲を覆った。

 

『2014年11月』

 

メインの建物は完全に解体された。2015年1月には隣接する建物も完全に解体され、この敷地は更地となった。

 

 

2013年11月20日、連邦判事はこの予告無しの白塗りはウォルコフ・ファミリーによるアーティストたちへの損害賠償が生じる可能性を述べる判決を下した。米連邦地裁は後日、ニューヨーク市にあったグラフィティの名所「5Pointz」を取り壊した住宅開発業者に対し、壁に描かれていたグラフィティ・アートの作者21人に計675万ドル(約7億2300万円)の損害賠償を支払うよう命じた。連邦法でグラフィティ・アートを保護すべきとした画期的な判断としての判決だった。ニューヨークの連邦地裁のフレデリック判事は、同市クイーンズ地区にあった「5Pointz」の再開発で失われた作品に法定損害賠償の上限に当たる15万ドル(約1600万円)の賠償額を45作品それぞれに認めた。

 

アーティスト側の代理人を務める弁護士らは5Pointzを「世界一の落書きアートを誇る屋外美術館」と表現した。代理人の弁護士エリック・バウムはこの判決を歓迎し、AFPに対して「エアロゾル・アートが他の美術作品と同様、連邦法で保護される価値があることを明確にする判決だ」と語った。