2019/05/15
イギリス生まれのロック

イギリス生まれのロック

『Rock'n'Roll』『Rock』は、異なる。前述では、アメリカ・メンフィスで生まれた『Rock'n'Roll』について紹介した。アメリカで生まれた『Rock'n'Roll』は、イギリスに渡り、あらゆるジャンルが重なり合い『ロック』として新しい道を切り開く事となる。アメリカで生まれた『Rock'n'Roll』については【ロックンロールの歴史】をご参照いただきたい。

 

1950年代後半から1960年代初頭にかけてイギリスでは、米国から輸入された『Rock'n'Roll』や『ブルース』が流行する。当時10代であったエリック・クラプトンは、この頃の『ブルース』に多大な影響を受け、ギターを始めた。のちに世界三大ギターリストとまでのし上がる事となる。この頃(1957年)、既にリバプールで結成し活動していたビートルズは1962年にレコードデビューを果たし、いち早く米国に進出。瞬く間に広がりを見せ、米国でトップチャートを独走した。イギリスで生まれたそれらの白人音楽は『ロック』として、一斉を風靡し、ビートルズはその先駆けとなった。イギリス・ロックの歴史はここから始まって行く。その波に乗るように数々の英国バンドが米国に進出し、イギリスのロックバンドが米国のトップチャートを賑わすようになる。ローリングストーンズ、ザ・フー、キンクスと、ビートルズを含む「英国四大バンド」と呼ばれ、全米ツアーを行う程に発展して行く。この現象は「ブリティッシュ・インベイジョン」と呼ばれ、全世界を騒がせた。

 

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イギリスでは、ミリタリージャケットを着てスクーターに乗る、『モッズ族』が現れたのもこの頃だ。彼らは、細身の三つボタンスーツにボタンダウンシャツなどを身に着け、ミリタリーパーカーを羽織るのがモッズファッションの基本だ。このミリタリーパーカーとは、1951年にアメリカ軍で採用されて『M-51』であり、これが後にモッズコートと呼ばれるようになる。「ベスパ」などのスクーターを乗りこなし、オシャレに、またはワイルドに新たな若者のファッションやライフスタイルとして誕生して行く。彼らは、米国の『R&B』『ソウル』『スカ』などを聴いていた。彼らの憧れが、ザ・フーである。当時の若者に近い気持ちを持っていた。その気持ちを代弁する歌詞や、過剰なライブ・パフォーマンスは、当時の若者の象徴であり、リーダー的存在感であった。ザ・フーは、その後の『パンク』に通じるスピリッツもあり、1960年代音楽を牽引する存在のバンドであった。

 

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1962年、ロンドンで結成されたローリング・ストーンズは『ブルース』『R&B』に根差したワイルドでファンキーなサウンドを武器にビートルズに対抗する世界的なバンドとなる。ミック・ジャガー率いるローリング・ストーンズは、メンバーの入れ替えなどがありながらも、泥臭く、ワイルドで常に時代の音楽を切り開く存在のバンドだ。2本のギターを軸に、”ストーンズ風R&R”を確立したと言えよう。また同年にロンドンにて結成され、1964年にデビューを果たした兄弟バンド・キンクスは『You Really Got Me』のヒットで人気ロック・バンドの仲間入りを果たし一躍有名バンドとなる。その後も、皮肉でありながらもユーモア溢れる詞と、独特のビートを持つサウンドで存在感を示し、最も英国らしいバンドのひとつとして進化して行く。

 

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アメリカで発祥した『Rock'n'Roll』は、イギリスで『ロック』として引き継がれ、アメリカに逆輸入するかたちへとなった。『UKロック』『モッズ』『サイケデリック』を生み、『サイケデリック』はヘヴィメタルを生んだ。ロンドンのパブをベースに、『ブルース』『カントリー』のルーツを基本とする『パブロック』が生まれ、『パブロック』の影響を受けたロンドンのキッズが『パンク』を生んだ。『UKロック』は様々な歴史を経て多くの音楽ジャンルを生み出してきた事はいうまでもない。その後も20世紀のポップスシーンやロックミュージックに多大な影響を与え、今日に至る。『UKロック』は音楽の可能性をさらに大きくした存在である事は『ロック』『Rock'n'Roll』が愛され続ける理由であろう。